感覚じゃなく、理論で語れるデザインを求めて——クリエイティブの”本物”を探した私の原点
感覚で進める仕事。
上司から指示される曖昧な言葉に、戸惑うばかりの日々だった。
構図も配色も、すべて”なんとなく”で決まっていく。
「これで本当に正しいのか」と問うたびに、返ってくるのは「感覚でしょ」という答え。
心の底で、何かが違うと叫んでいた。
「デザインには、必ず理論があるはず」
その確信だけが、私を支えていた頃、
海の向こうに、本物のクリエイティブの世界が待っていることを、私はまだ知らなかった。
「なんとなく」が嫌だった——独学デザイナーの葛藤
聞き手:DesignUp Academy編集部
語り手:デザイナー
編集部: 今の専門は「ブランディングやWebデザイン」と伺いましたが、デザイナーを志したきっかけはどんなことだったんですか?
Mayuko: 実は、最初は嫌いな仕事を経験したことがきっかけでした。
人生で初めて「あ、自分の好きなことってこれだ」と思えたのが”何かを作ること”、つまりデザインだったんです。
そこまでは前回お話しましたが、その後、デザイナーとして働き始めてから本当の壁にぶつかりました。
編集部: 壁、ですか?
Mayuko: はい。
独学で学んで現場に入ったんですが、徐々に「自分は基礎ができていない」と痛感したんです。
構図ひとつ取っても自信がなく、「これで正しい」と論理的に説明できない。
上司も技術的に指導できる人ではなくて、みんな感覚で進めていたんです。
その”なんとなく”が本当に嫌で、心の中で「デザインには必ず理論があるはず」と感じていました。
編集部: なるほど… 感覚頼りの仕事にモヤモヤしたんですね。
Mayuko: そうなんです。
しかもウェブ制作会社だったので、中には美大出身の人もいましたが、「こうなりたい!」と思える人はいなかったんです。
誰も本気でデザインの根本を探ろうとせず、クリエイティブという言葉がどこか薄っぺらく聞こえてしまって……。
気づいたら毎日徹夜でタクシー帰り。労働環境としても最悪でした。
「このままだと、好きなデザインを嫌いになってしまう」と思ったんです。
編集部: そのとき、どんな気持ちでいたんですか?
Mayuko: もう「早く日本を飛び出したい」一心でしたね。
ロンドンかニューヨークに行けば、デザインの基礎からしっかり学べる——直感でそう感じたんです。
「この環境じゃ何も育たない、自分の中の”本気で学びたい芽”が枯れる」と思いました。
理論と言葉で語れるデザインを
編集部: そこから一歩先の理想=WELL-BEINGを言葉にすると?
Mayuko: 「一流の理論がしっかりしている世界で、誇りのあるデザインをつくること」ですね。
周りがクリエイティブな人たちと、 お互いに刺激し合いながら”美”や”理論”を軸に語れる環境に身を置きたかった。
感覚じゃなく、ちゃんと理論と言葉で語れるデザインを知りたかったんです。
まとめ:本物を求める旅は、ここから始まる
感覚でデザインをする日々の中で、自分の声が聞こえなくなっていたあの頃。
でも、あの違和感こそが出発点でした。
あなたの中にも、「これでいいのか」と問いかける声があるはずです。
それを無視せず、本物を探し続ける——
そのプロセスこそが、クリエイターとして生きる実感を取り戻す一歩になるのだと思います。
✏️ インタビュー:DesignUp Academy編集部
